|
紅葉の池ノ平ツアー
「凄い・・・・」
パノラマライン、鹿沢、地蔵峠と車は走る。行く先々で、黄金色したカラマツの黄葉が続いている。北軽井沢の周りはカラマツが多く、それが一斉に色づいたのだ。
「きれい・・・・」
池ノ平の駐車場から高台に上がる。15分ほど上がっただけで、今度は富士山から北アルプスまで、360度の展望が開けている。
「あれが槍ヶ岳、その隣が穂高で、向こうに見えるのは白馬岳、それから・・・・」
「詳しいんですね」
実は、これには訳があるのだが、今は置いとこう。
景色のいい場所で昼食。ツアー中で一番楽しいひとときだ。
「はいどうぞ」
「これもどうぞ」
みかんやりんご、お菓子等、次から次へと差し入れの山。その内に持参のガスでお湯を沸かし、コーヒーを入れる人も出てくる。
何とも贅沢な、山でのひととき。今日のツアーに参加された方は、みんないい方ばかりだ。
え、差し入れを頂いたから持ち上げているって? そんな事はないですよ。
実は、私は長い間、池ノ平に来た事がなかった。正直言って、池ノ平というのは「簡単に行ける場所」だから「たいした事はないだろう」と勝手に思い込んでいたのもある。
来てみて驚いた。カラマツの黄葉。夏には高山植物が咲き乱れるという、湿原とガレ場。そして360度の展望。私は各方角に山の形と名前が描かれている円盤を、食い入るように見ていた。
そろそろ下山の時間だ。残り半周のルートを歩き始める。
「おーい」
どこかで見かけた顔ぶれ。
「やあ偶然だねえ」
今日は池ノ平ハイキング組の他に、バイクツーリングツアー組も出ていた。彼らも万座に行く予定を変更し、池ノ平に来たのだった。
「あれ? この先に行くんじゃなかったの?」
「別にどうしても行かなければならないという事はないし、早く温泉にも入りたいから、ここで撤退」
という訳で、2組が合流して池ノ平の駐車場へ向かう。バイクと車に別れて高峰温泉に向かい、「ランプの宿」の温泉に入ったのだった。
【土井健次】
|